2007年9月25日火曜日

ピッチングエッセンス稼動システム

エラそうなタイトルですが、要はよく巷で言われるピッチングの理屈となんら変わるものではないし、あまり細かく考えている訳でもないので、今回はいっしょくたに書いちゃいまーーす。
それぞれのタイトルは、指導のときに使っているキーワードです。

1:ギブソンのように
足を上げる動作です。

「ギブソンって誰??」

えっ?ダメですよそりゃー、現代の「巨人の星」とも言うべき野球アニメ「メジャー」に出てくるメジャーリーガ投手で、足を胸につくぐらい上げるんです。

















この動き・・・日本人ピッチャーにはまずないですよね。

でもどうやら足を高くあげ、「骨盤を後傾させる」メジャー風の足上げの方が体重を全て後足に乗せられるらしいんですね。
・・すると、これをやらない日本人ピッチャーは体重の乗せが甘いということになりますが、それをカバーしているのが「ヒップファースト動作」なのだそうです。
<参考:塚口理論ブログ「Y字バランス以降の分かれ道」「Y字バランス以降」「ヒップファースト考」>

ほんとうにこども達にこれほど足をあげさせる訳ではないのですが、こども達は揃って足の上げ方が小さいので、あえてこう言ってます。その関係もあって、前足への併進運動については、日本風にヒップファーストにさせています。

2:おしりから倒れろ!
ヒップファーストフォール、いわゆる「タメ」をつくるところですね。
でも、「タメ」って明確な定義あるの?・・ってわかりませんでしたが、下記のブログでとっても明確に定義してくれています。
解剖学的にみると別な解釈もあるようですが、動きを指導するには下記が分かりやすいと思います。

1.併進運動で「タメ」を作るやり方はこちら
   ↓
 お父さんのための野球教室(指導方法・上達のコツ)『タメて投げろ!!のタメって何?』http://blog.livedoor.jp/bb_easy_consultant/archives/16194991.html


日米のピッチャーについては、前々から足上げ動作の違いと踏み出す足の使い方があまりにも違うので、

「外人ってなんであんなに突っ立った投げ方で投げられるんだろう?」

と不思議だったのですが、このあたりがあたしが一番悩むところです。

「科学する野球」は、この突っ立った投げ方こそ理にかなっているという立場ですが、「野球サイトPA」は、体重移動の動作(併進運動)と上体の動きを支えるには日本人の細い足・弱い上半身では、メジャーリーガのような重心の高いフォームで前足にかかる衝撃に耐え続けることができないとし、「ただ、メジャーリーガーであっても日本人であっても、「前足を固定し、股関節を軸にして体を回す」という「理想的な原理」は変わらないはずです。」と述べた上で、体重移動には不利ではあるものの低い体勢での併進運動を行い、踏み出した前足の膝角度が100度となるように踏み出すのが理想としています。
<参考:「野球サイトPA」(1)前足ステップのやり方 4:ステップ幅「7歩が理想なのか?」
http://pitchinganalyzer.web.fc2.com/3-1.html

まあ、当面はヒップフォールで前膝角100度で行こうと思ってます。

こっからは上体の動きが入ります・・

3:こうもりになろう
テイクバックの動作ですな。テニスの時はラジオ体操のこんな動きでレッスンしたものです。

でも、野球では肘先行で上に上げるイメージにさせようと思い、renくんに「こうもりになってごらん」と言ったのが始まりです。
でも、小学校2年生のrenくんはこうもりそのものを知りませんでした・・・そりゃそうだよねー、最近夕方遊んでてこうもりを見るなんてないんだろうなぁ・・
でも、あえてこの動きをイメージさせるための言葉として使ってます。

写真2の動作ですね。

4.敬礼!
写真5の動きです。

ボールを引き上げるときは敬礼の動きのように体の前側から上げることを重視します。
また、うちのチームでは、敬礼した後はボールを持った手を頭に載せるように指導してます。

5.ボール動かすなー
4.でボールを頭に載せたら、その位置を動かさないように意識しながら6.の動作を行うことで、肘が先行する動作を覚えてもらいます。


ここで、下半身に戻ります・・

6.蹴り上げ
ここで、体をキャッチャー方向へ向ける必要がある訳ですが、キモはやっぱりこの動作・・・



<原典:少年野球blog 「なぜ骨盤前傾にもどしたのか?」

ダブルスピン投法でも1stスピンスタートのきっかけとされている後足の捻り、手塚さんは後足のエッジングをギリギリまで粘ってから時計周りに(右投げ)かかとを回すことで「うねり」が発生するとしています。

でも、あたしはこの後足の捻りはどちらかというとフィニッシュに足の裏を空に向けるようにひざから下をL字レンチのように蹴り上げるイメージにしています。
この蹴り上げで上体はかなり急激にキャッチャー方向に捻られます。

7.でんでん太鼓
ここで前回の「上体倒しとゼロスローの動き」が加わることで腕に加速度と遠心力が加わり「腕が振られ」、最後はこのフィニッシュになる訳です・・・

<原典:筑摩書房刊「科学する野球レッスン」>











ここのポイントは「腕が振られ」ることで、イメージとしては「でんでん太鼓」だと教えてます。

最近の小学生は、昔おもちゃを「学んで」いるらしく知っていたので幸いでした。

この動作の良いところは、ゼロスローを行うことで「腕の振りの軌道」が一定になってしまうことですね。だからコントロールがよくなるんだと思っています。
なにしろ左右のコントロールのブレがとても小さくなったので、後はリリースのタイミングで高低を簡単にコントロールできるのです。
最近バッピーやるのが楽しみになりました。
 

・・と、ピッチングを一通り書いたぞ。でも悩みのこと・・・

端的に言ってこんな写真を見て悩んでいるんですよーーーシリングさん・・・

 

2007年9月21日金曜日

ピッチングのエッセンス

うーーーーん、筆が・・・いやキーボードが止まってしまいました。
この前に次回から自分が迷っていることを書くと言ってしまったのですが、さぁどこから書こうかと考え始めたらまったく考えがまとまらなくなって書けませんでした。

こりゃダメだということで、まず現在指導していることを書くことにしよう!そんで、わからんことや迷ってることを書いていくです。
あたしは、チーム内では守備担当コーチなのですが、そこはそれお父さんコーチの集合ですのでその日に集まったメンバーやらの事情で、バッティングを見たり、バッテリーを指導したりすることもたまにあるんです(だからお勉強しないといけない状況でもあります)。

そう考えたら急に楽になって書き始められるや・・・

そこで、ピッチング編ではまず(バッティングでも紹介した)「エッセンス」を明確にして、エッセンスの動作を実現するための各種パーツの動作をだんだんに書いていくことにします。

まず、基本的な考え方はバッティングと同じ・・・つまり、下半身主導のリニアウェイトシフト型ということですね。
・・で、ピッチングの「エッセンス」はというと・・・前回ほとんど明かしてますが、腕の内旋による投球ですね。


ただし、ポイントはこの腕の動作をしながら「ゼロポジション」でボールをリリースする「ゼロスロー」をするということ。

ゼロポジションは、最近よく聞く言葉なのでみなさんご存知だと思います。
まず、どうやったらゼロポジションを作れるか、これは立花龍司さんのやり方がとってもわかりやすいですよね。

<原典:「nikebaseball.jp」http://nike.jp/baseball/main.html


ところが、ゼロポジションで投げるときの腕の動作についてあたしは間違っていました。そのことを教えてくれたのが最近気に入っているこのサイトです。

ピッチングアナライザーhttp://pitchinganalyzer.web.fc2.com/サイト主催者の10さんよりご連絡頂きました。現在は「野球サイトPA」という名称になっています!


左(2枚:zyone記)は、胸を相手に向けたまま、腕を真っ直ぐ押し出すような動きです。
体を相手に正対させ、ひじの伸ばしだけで投げようとしますが、この投げ方は二の腕の裏側(上腕三頭筋)と胸の前の筋肉を酷使することになり、故障の原因になります。「腰が回っていない」「手投げ」
(ただし、良くないとしている写真左は、キャッチボール開始時などで肩甲骨のスライドを確認するためこの投げ方が有効になる場合もあります。リリースがスライダーである選手・ひじが下がって投げる選手にも、現実には有効です。)

 右(2枚:zyone記)は肩甲骨面に沿った腕の振りです。 
 体を45度弱に回しておくと、肩甲骨面は45度+45度=90度で相手(写真撮影方向)に真っ直ぐ向きます。つまり、この向きで腕が伸ばされることで肩甲骨が滑らかに動き、ボールリリースの負荷を受け流すことで故障の少ない投げ方になります。そして、指でまっすぐ弾かれることで、きれいなバックスピンが相手に届きます。

<原典:「野球サイトPA」「第一章 すべての始まり(1)「腕・肩・ひじの使い方」から見た基本 3ゼロポジション」http://pitchinganalyzer.web.fc2.com/1-1.html

これって、まるで応援団のような動作ですね。通常に感じる「投球」動作とはだいぶ印象が違います。
あたしは、体を正面に向けた状態でゼロポジションでリリースするものだと思っていて

「チカラ入んないジャン!!」

なんて怒ってましたが、ある時上記のゼロスローができることで必然的に腕がスムーズに内旋し楽に投げられるということを知る経験をしました。
renくんとキャッチボールをしている時にたまたま下の図のようなTの字みたいなフィニッシュになった時、すんごく気持ちよく腕が振り切れてコントロールがピタッと決まる経験をしたのですが、それ以来このフォームを意識することで投球のスピードもコントロールも格段によくなったのです。

この時は、偶然図のようなTの字フィニッシュになったのですが、このフィニッシュになるような動作をするとゼロスローしやすいのじゃないかと思っていて、それ以来やはりこども達にはスムーズに腕の内旋ができるようになる方法を教えるべきだと思っています。

ただし、こどもに指導する時はあまり腕の内旋を意識させすぎるとよくないとのことなので、テニスのサーブ指導のときによく使っていた方法をやってます。

ゼロポジションの状態で腕をターゲット方向に伸ばさせ、

「できるだけ指を遠くに届かして!!」

というとこども達はあれこれ試してみます。そこで、「腕は内旋することで最も遠くまで届く」ことを体感してもらいます。
これなら実践的な方法でゼロポジションと腕の内旋を覚えることができます。

さあ、そして腕の動かし方に続いて上体の使い方を覚える極めつけの方法があります。それは・・・

「投げ下ろし」「真下投げ」

・・まあ、呼び方はいろいろでしょうが、要するに自分の足元にボールを叩きつける・・・そう、前回ラケットでテニスボールを叩きつけたのとおなじ発想です。
この方法が最も肘・肩にダメージを与えず、自然と肘を高くキープする動作を覚えられますね。

「なぁーんだ、よくやるヤツじゃん!」

・・・と思った方! そりゃそうです。別に奇抜なアイディアを求めてるわけではないですからね。
前にも書いたとおり、練習方法はシンプルが一番です。

やり方は、これがいいのでは・・・

まずここでは、通常の「真下投げ」をやってみます。
 この真下投げは「東京大学大学院 総合文化研究科 生命・環境科学系 身体運動研究室」の渡会公治助教授・伊藤博一助手によって作り出された練習法です。

<原典:「野球サイトPA」「第一章 すべての始まり (3)真下投げを含む「固定投げ」2通常の”真下投げ”」 http://pitchinganalyzer.web.fc2.com/1-3.html

このサイトにも記述がありますが、真下投げであれば肘を痛めている選手でも肘が痛いとは言いませんね。やはり、肘が上がった投げ方(メンコのような動作)が自然とできるということですよね。
さらにこの方法には、「体の倒し」もプログラム化されているので、この後に続く体重移動の指導もスムーズにできるんですね。

実は、うちの3年生チームのエース君が夏休み直前にけがでフォームを崩した上に、先週末練習に来たと思ったら2週前から投球時に上腕が痛むようになり、医者に筋肉痛と言われたが痛みが引かない・・・と言い出したのです。
キャッチボールを見たら、バックネット直撃の暴投状態。フォームチェックしたところ、バッターに向かって胸を張る時点で肘が下がりさらにテークバックの腕の動きが狂い、担ぎ投げ状態になっていました。
そこで、ゼロスローの真下投げを教え、さらにこの子は背は高いけど下半身が弱いので軸足に体重をしっかり乗せるドリルを組み合わせて矯正することにしたのですが、この時、彼も真下投げだと痛みがないとビックリ顔でした。

ピッチングの場合、エッセンス部分はこの「ゼロスローと腕の内旋」ということになります。

そして、バッティングのときもそうでしたが、このエッセンスを稼動させる仕組みが必要です。この部分を担うのは、やっぱり下半身!!

と、いうことで下半身の動作はいよいよ、次回公開となります。(TVじゃあるまいし・・・)

これが結構ミソなんだけど、悩みの種でもあるんだなーーー・・・
 

2007年9月14日金曜日

ピッチング:そもそも・・・

さーて、さて、どうなることやらピッチング編のはじまりです。

そもそも、ピッチングなんてなんにも分かりませんでした。(また、時計は2006年7月に戻ってるわけね。)
で、漠然ともってた疑問・・・だいたいこの辺からはじまります。

・・で、疑問は「ちゃんとした投げ方ってどんなだろう?」

こりゃこまった疑問だ!! あまりにも大雑把過ぎる。「ちゃんとした投げ方」って・・・

そこで、またぞろ本屋へGO! 最初に本屋で立ち読みしたのはバッティングの時にも書いたけど、実は最初ピッチングをお勉強しようと買ってたんです。

これ、いい本ですねーーー。

体裁がコンパクトなのに中身が濃い。

レッスン内容が厳選されてて、結構高度です。

さすが立花さんだけあってトレーニング方法もバッチリ。





        
<高橋書店刊:「立花龍司のメジャー流少年野球コーチング」>

そして、バッティングでも何度も登場している「少年野球blog」の出会いは実はこの頃、サイトでボールの投げ方を調べようと検索しているときだったのです。ぶつかったのはこの記事です。

少年野球blog「投げるその1ひねる」http://metoo.seesaa.net/article/4704328.html

この記事でボールを投げるときは、腕の内旋で投げるということを解説しているのを見て「?」と思ったものです。

立花さんの本にはこの部分も解説してあったので、即買いしました。
さらに、metooさんブログにもリンクのあるナイキのサイト「nikebaseball.jp」http://nike.jp/baseball/main.html
「トレーニングスタジオ -ケガをしないフォームづくりのためのトレーニング-」では動画でさらに詳しく見ることができます。

・・・で、前回書いたようにこの腕の内旋で投げる動作は、いろいろ迷っているあたしにとって不動のいわばエッセンスに近いものだろうと考えています。

この動きは、テニスのサーブ・スマッシュでまったく同じ動きをします。
     

<原典:tennis365.net「怒涛の連続写真~サーブ編 上巻」http://news.tennis365.net/lesson/tokushu/service/service04.html

でも、実際にやってみてもテニスのサーブ・スマッシュと投球が同じ動きというのは不思議な感じがしました。特にこの動きでストレートボールを投げるというのが今ひとつ・・・
スライダーっぽい横回転をかけるのであればイメージ通りですけどねーーー。

でもこども達は、最近ジャイロボールが大流行なので、むしろ喜んでやりますね。ただ、その場合、下記を気をつけないと・・・

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TBありがとうございました。
流石に経験豊富なmetooさん。解説が親切で判り易いです。
小指が上を向いていることについて指導すると、意識しすぎてフォーム
を崩す子がいるので注意が必要と、立花氏が言っていました。色々と難
しいですね。

もっと熟読して勉強させて頂きます。
Posted by 星 十徹 at 2005年06月29日 11:45
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これは、metooさんブログの上記記事に対するコメントです。
この辺が難しいなぁと思います。

ただ、テニスを教えていても、この動きはなかなか最初ピンとこないものです。特に大人は。
でも、こども達はできるだけ遠くに手を伸ばすように意識させると自然と手を内旋することがほとんどでした。野球でも同じじゃないかな?と思ってます。

なので、こども達にピッチングを教えることになった時にはラケットを持って行きますよーー。
で、テニスボールを地面に叩きつけさせます。フラット(回転をかけない打ち方)打ちで。気持ちいいッスよーー、ボール10mくらい跳ねると思います。こどもでも5・6mくらいは上がるかな?

・・・あっ、これでフライの練習もできるジャン!! 今、思いついちゃった。明日やってみよ!!

これは、独り言です。でも、これ、いいと思いません?こども同士でピッチングとフライキャッチ練習が同時にできますね。テニスボールだとこわくないし。
ノッカーなしでやれると守備の指導がしっかりできるし・・・うーーん、やろうやろう。
まあ、ちゃんとラケットで打てればの話ですが・・・
 

2007年9月11日火曜日

ピッチング・・・はじめに

さてさて、バッティングがなんとか一段落ついたので今度はピッチングにいこうかな。

でも、本当はピッチングは後回しにしようかと思っていました。なぜなら、いまピッチングについては迷いに迷っているからです。
ほんの3ヶ月前まではまったく迷わずに手塚さんのダブルスピン投法を教えられるようになろうとお勉強していたものですが・・・

・・ってなんだか昔ばなしのように書いてるけど、迷いのきっかけはバッティングでもさんざん出てきている「科学する野球-投手編-」です。
そしてさらに、「メジャーリーグのバッティング技術」を書かれた塚口さんのピッチング理論(バッティングで気になって最近見直してみたら、ブログにピッチング理論も書かれていて・・・)。
これらの間でなにをどう迷っているかというと・・・うーーーん、これを書き始めると長くなるので、次回から書いていこう。


とにかく今、方法論選択の判断基準は何かというと・・・

「こども達にとって安全な体の使い方を習得できる」

ということです。
つまり、大好きな野球をやっているのに「肘が痛い」「ひざが痛い」「肩を壊した」なんてことにさせないことを最重視しています。
まあ、より速い球が投げられる理論とかあるかもしれないけど、小学校3年生を面倒みている今はまだまだ運動自体に慣れていないこどももいます。運動はできるけどボール投げができない、なんて子もいます。

だから、彼らが高学年チームでプレーするときに困らない「基本的な体の使い方」、野球の基本技術というだけでなく、投げる・捕る・打つ・走ることがその子の適性にあった無理・無駄のない動作でできるようにしてあげたいと思う訳です。
それができれば高学年チームは高いレベルからスタートでき、中学・高校・その後まで彼らが安心して野球を続けられますもんね。将来に渡って高いパフォーマンスを発揮できる基礎をつくるのが低学年チームコーチの役割だと思うのですね。

ただし、あたしは(自分自身はややこしい理屈が好きですが)理屈ややり方は出来る限り簡単なほうがいいと考えています。
あまりに理論が鉄壁に組まれているとそれから外れることが難しくなり、だんだんに理論から逸脱することが怖くなります、そして理論から外れたことをやってみてうまくいかないとますますその理論に縛られる・・・
こうなると本来は良い理論を実行していたはずなのに悪循環に陥ることになります。

スポーツなんて人がやることですから日によって調子も違えば、気分の乗りも違う。同じことをやっても常に同じ結果が出るわけではない、それが当然なんですよね。

なので、あたしがバッティングのときに「エッセンス」を大事にしているといったのは、できるだけ理論をコア部分にまでそぎ落として、個人の自由度を高くしたいからなんです。

・・という訳で、ピッチングについては迷い中で、素人お父さんにとっては、まったくもって困った状況です。

迷っているのは何かというと・・・
1.後足のセット方法
2.前足の上げ方と後足への体重の乗せ方
3.前足のステップの仕方
4.ステップ時の後足の使い方
5.テイクバックでの腕の使い方
6.前足への体重移動の方法
7.フィニッシュの方法

なんだよ、全部じゃねーか!!
イエイエ・・実は、これだけは動かないというものが・・・
 ↓
 ■ 投球は腕を捻って投げるものとし、腕の屈曲・伸展のみで投げない。

そうですね、この点は特に肘を痛めないためにとても必要な指導事項だと思っています・・・なのに!こういう動作をあえて「指導」すると間違った動きを覚えてしまう場合があり、中学・高校などにあがった後で修正に困るという事例が増えているとのこと。

ふうううう・・やっぱ、質のいいトレーニングが重要になるなぁ、そして、実は今一番悩んでるのが・・・

「意識的な動作と無意識的な動作(随意動作と不随意動作)」

そしてその指導方法についてなのです。

そういった訳で、まがりなりにも自分にとって基準となる指導方法をまとめられたバッティングとは違って、ピッチングについては、わからないことの告白コーナーになっちゃうかもしれません。
本当にいまの段階では、この「ピッチング」編をどんな内容・構成にするのか、まったく見当がつきません。

ということで次回からは、あたしがピッチングについてどこから入り、何に迷っているか・・・というあたりから書いていきたいと思います。
 

2007年9月5日水曜日

バッティング:番外編

えーー、今の時点で気になっているもろもろを書いとこうという趣向です。

1.塚口理論
これ、最近とみに気になってきました。というのも、しばらくぶりにHPを見たら以前とチョット変わっていたところがあり、ここがあたしのアンテナにピピッときたんです。
それは、素振りの仕方の図です。

















<原典:塚口洋佑「バッティング理論」http://www.sutv.zaq.ne.jp/ckame404/NewFiles/f4.html

この図のどこがピピッときたかというと、バッターから見るとピッチャー方向に斜めにガラス板のようなものが描かれていますが、これ、実は前に書いたあたしのゴルフの振り方と同じ考え方なんです。
ゴルフでは、スウィングプレーンと呼ばれるクラブの理想的なスウィング軌道を説明するものとしてこれに似たガラス板のイメージがよく使われます(ベン・ホーガンという有名な選手が書いた歴史的に有名なレッスン書「モダンゴルフ」にイラスト付きで書かれた)。
ただし、そのガラス板は上の図とは違って、アドレス時のプレイヤーの肩からボールの方向に斜めに固定されたイメージです。





<原典:ベースボール・マガジン社刊「モダンゴルフ」>

初心者ゴルファーのスウィングイメージはこのガラス板の上で、頭を中心に左右対称に振り子を振るようなイメージが圧倒的に多いと思います。
世界中のゴルファーからボコボコにされるかも知れませんが、あたしはこのガラス板のイメージが初心者のゴルフ上達を著しく妨げている、特にスライスの原因を作っていると思っています。
あ、もちろん理論自体が間違っているということではなく、このガラス板のイメージによって多くのゴルフ初心者がスウィングイメージを勘違いしてしまい易いということなんですね。

あたしがテニスのコーチだった頃、別なスポーツを自分で勉強すべきと考えてやってたのがゴルフでした。
なので、けっこうまともに理論も勉強したのですが、そのときまさにこのイメージを追っかけていました。
実はゴルフは中学校ぐらいから遊びでやってたのですが、それでもずーーーーっと治らなかったスライスを『一発』でストレートにしてくれたのが、ガラス板をアドレス方向ではなく、打球方向に向けるイメージの転換だったのです。

全部書くとものすごーーーく長くなるので理論については書きませんが、あたしがゴルフのバイブルとしている「非力のゴルフ」(橘田規・高松志門著)との出会いは衝撃的でしたよーーー。
<知恵の森文庫刊「非力のゴルフ」>

あたしが読んだのは、カッパブックス版でした。
練習場の待ち時間に雑誌に掲載された高松志門プロの特集レッスン記事をチョイ読みしたのですが、書いてあることがムチャクチャで(当時のあたしにはそう思えた)、最初は「こいつ何バカなこと言ってんだ?」と笑ってしまったのでした。前にも書いたけど、その理論を一言で言うと

「ゴルフは右上から左下に袈裟懸けの大根切りだ!!」

というもの。つまりテイクバックでクラブを体の右前上に立てて、そこから体の左後ろ下に向けて袈裟懸け・大根切りに打てという。

『ただでもスライス治らねェーのに、こんなことやったらバナナスライスになっちまうじゃねーかー!』

・・と思ったのに、たまたまやってみたら見事な、本当に見事なストレート球が打てて、その瞬間思わず

「アッ!!」

と周りの人が振り返るぐらい大きな声を上げてしまったほど驚いたのです。そして、その瞬間以来スライスとおさらばすることができたのです。
この本、他の理論書には書いてないことばっかり書いてて、すんごく役立つのでゴルフ好きの方はぜひ読んでみて下さい。まあ、「ゆるゆるグリップ」の高松志門プロの本ですので、既にご存知の方もたくさんいるとは思いますが・・

この理論のなにがスゴイって、「初心者が陥りやすい自分の体の動きに関する勘違い」を逆利用して正しいスウィングに導いてしまうところです。(実は、この本そのものよりもあたしが練習場で読んだ雑誌の特集記事のほうが、この点がより明快に書かれていたのですがその雑誌名を忘れてしまいました・・・)
つまり、おかしなことが書いてあると思ってもその通りにやると、結果正しい打ち方になってしまうわけです。
この理論に出会って以来、あたしがテニスを教えるときに気をつけるようになったのは、
「このときはこうやって打つ」という固定的な教え方ではなく、「こういうイメージでやると体が正しく動く」という練習方法を編み出すことでした。

この本にはガラス板のイメージそのものは書いてないのですが、書いてあることをやってみると要するにボール方向でなく、打球方向に傾けたガラス板の上をUの字にスウィングする感じ(本ページトップのイラスト)になるのです。ただし、このスウィングイメージが合うのは、あたしが『4スタンス理論』でいう「AⅡタイプ」だからなのかもしれませんが・・・

ということで、この方法が「トップハンドトルク打法」につながるとすればやってみて損はなさそう・・・と思ってるわけです。
もちろん、トップハンドトルクまたはローテイショナル打法は現在ほとんどのメジャーリーガが採用しているというものの、逆に言えば次の星野理論と同じく様々な変化球に対応する必要性から生まれてきた背景があるようなので、あたしらのレベルでやるべきことじゃないとも思います。

まあ、もっともあたしらにとって野球は楽しい遊びなんで、好きにやればいいってことでもあるんですが、こども達に何を教えるべきかと考えると迷いますね。


2.星野理論
これ、まだ全く理解できてません。ただ、インパクト時のトップハンドグリップを背屈するという点で全く考え方が違うと感じています。
トップハンドのグリップを背屈するということは、あたしが採用した厚い「フックグリップ」「ストロンググリップ」でなく、薄い「コンチネンタルグリップ」「ウィークグリップ」ということになります。

遠くに飛ばすということだけ考えると厚いグリップの方が有利であることは間違いないのですが、薄いグリップの利点は「器用」なことです。
テニスでもサーブ・スマッシュといった手首を使うショットとバックハンドスライス・ボレー・ドロップショットといった、ボールに「逆回転」を掛けて細工したい場合には薄いグリップを使います。
ゴルフでもフックグリップはドローボールでドカーンと遠くに飛ばすには有利ですが、あらゆるトラブルショット・バンカーショットなどやはりスライス回転を掛けて細工をしたい時には薄いグリップが必要です(ちなみにあたしが一番好きなプロゴルファーは林由郎プロで、そのウィークグリップから繰り出されるバンカーショットやトラブルショットは芸術品です)。

そういえば、星野理論は世界中のトッププレイヤーのプレイを調べてその共通点で構成したんですよね。
世界的なスラッガーが相手にするのは球が早いだけでなく厳しい変化球でバッターのタイミングや体勢を崩してくる世界的なピッチャーなわけだから、ストレート球に強いフックグリップよりも差し込まれたり、体勢を崩されても対応できる器用なグリップを使う選手が多いということなのかな?
・・・なんて勝手な想像です。まだあたしはちゃんと星野理論を読みきっていませんので・・・スミマセン。

ところで、星野理論にも取り上げられている落合選手(現中日監督)の打ち方についていつものmetooさんブログにすごいコメントがありましたので、勝手に引用します。

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metooさん、こんにちわ。
基本的にmetooさんの考え方と私論とは同じなんです。
私も落合打法は尊敬しておりますので、自分なりに分析してみたことがあります。
で、そのエッセンスを息子達に当てはめています。
(私分析があっているとは申しませんが)metooさんも気付かれていない(?)ポイントとしまして、落合のインパクト時(もしくはその前後)の写真に注目してください。そして左手のあり方に注意してみてください。彼のインパクト時は左手の甲がピッチャー側を向いています。逆に言えば、左手は手のひらで押すこととなり、イメージとしてはテニスのフォアです。テニスの選手はフォアを打ったあと、左足を開いて着地しますよね。それと同じです。 そこで、私はなぜ、落合がこのようなテニス打ちに至ったか、考えました。 で、私なりの結論は、「プロ投手の変化球対応」のため、できるだけ手元まで引き寄せてからインパクトしたいので、となりました。
そのためには(極端な体重移動はやめ)軸足の強い押しと手のひら打ちが必要と感じました。なぜなら、一般的な右手甲を下に向けての打ち方では仮にインパクトポイントが手元付近のときには、ヘッドが走りません(間に合いません)。ですから、手の返し(リストターン)の最中である右手の平がピッチャー側のときにインパクトを迎えれば手元で差し込まれたときも打てます(ヘッドが走ります)。それだけでなく、一般に使われないリストターンによるパワーも付加されます。ですから彼の「あくまでセンター返し、振り遅れがライト、早振りがレフトにいくだけ」という言葉はヘッドが間に合うからこその言葉であり、この打法が落合の「広角」長距離打の源ではないかと考えています。
ですので、彼の打ち方は今までの常識とされていた打法とは根本的に違うものと思っています。あくまで私論ですが。。。(苦笑)
Posted by touch at 2005年12月07日 13:15


touchさん、ありがとうございます。

落合博光の超野球学(1)(2)を読んで、あ~この人はこんな事考えていたんだ~、とても参考になりました。
あの独特のリストターンは中学時代のあこがれでした。

ところでtouchさんはご自分でブログやられないんですか?ぜひ作られた方が楽しいですよ^^
Posted by metoo at 2005年12月07日 15:45


metooさん、ありがとうございます。
私は職業柄、海外出張が多く、定期的にメンテナンスができないので、ブログが作れないんです(笑)。

ですが、基本的に技術論争は好きな方ですから、これからもよろしくお願いします。
よくシニアの指導陣や元プロの方に技術論を語っていただいては勉強しております(笑)。
先に発言した打撃論・投球論も単にチーム指導の技術的機軸のひとつなんです。つまり、次男のシニアは先の技術習得・実践チームなんです。
P.S. 落合氏から先の私技術論は「当り」とのお墨つきでしたので、大まかな点としてはあっていると思いますよ。
Posted by touch at 2005年12月07日 16:50
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打法分析も鋭いけど、それ以上に落合選手本人から直接お墨付きをもらっちゃう人っていったい・・・


3.4スタンス理論
NANDA愛好者はみんな読んでるんじゃないでしょうか?
こういう体のメカニズムから導き出す理論が好きです。TVで見てるとこれもなんかビックリの理論のようですよね。

最近1回目を読み切ったたところなので、いつかどっかで書けるぐらいお勉強しようと思います。
 

まとめ

なんとか前回まででバッティングが一段落したと思います。
もっとも、考えは変わっていくと思うので、その度に修正を加えて行きます。

・・で、とりあえずここまでパーツ毎に書いてきた指導内容をまとめてみます。

■グリップ
 1.インパクトでトップハンドが空、ボトムハンドが地面を向く「フックグリップ」。

■構え
 2.骨盤を前傾させ「デッチリ」にする。
   ⇒(あたし的には)クラウチングスタイル。後足つま先を閉じて内部応力使う。
 3.後足体重(6:4~7:3)。
 4.バットは肩に担ぐ。
   ⇒ 振れるようになれば、バットを浮かす・立てるはこどもに任せる。
 5.ステップまで体を動かしながら待つ。

■ステップ・トップ・割れ
 6.前足つま先を閉じた状態で、内踵からステップ。
   ⇒ ナチュラルステップを基本とするが足を引く・上げるもOK。
 7.ステップ時グリップ位置を動かさないことで、トップ・割れを作る。
   ⇒ youさんのパクリです!
   ⇒(あたし的には)ステップと同時に右肘を張る。
   ⇒ ステップと同時にスウィングしない。

■フォワードスウィング・エッセンス
 8.割れの後、後足を強く内旋する。
   ⇒ 後足を拇指丘で支えるか、フリーフットにするかはこどもの適性による。
   ⇒ 腰→上体が旋回し体重が前足に乗り移る。
   ⇒ 閉じた前足を回転軸とし膝の割れを防ぎ、旋回パワーが肩・腕に伝わる。
 9.後足の内旋と同時にトップハンド肘抜き。
   ⇒ 腰→上体の旋回と肘抜きによりバットが肩から落ちていく。
10.バットが落ちる時にトップハンドをパタンと倒しボールの通り道をふさぐ。

■インパクト・フォロースルー
11.上体はピッチャーに正対。
12.トップハンド前腕がバットと90度。
13.トップハンドの手首はやや掌屈する。
14.インパクト後手首は返さず両腕・肘を伸ばす。
   ⇒腕が伸びきりバットの行き場がなくなると自然に手首が返る。
15.インパクト周辺のスウィング軌道は上体の傾きに対して90度。

・・ってことで、15のポイントにまとめることができました!めでたし、めでたし・・・

ってことでもないんですよねーーー。

ここでまとめたのは、一応こども達への教え方を統一するため、リニアウェイトシフトをベースにしたひとつの方法です。
前にもちょっと書いたりしましたが、グリップひとつにしても星野理論ではトップハンド背屈ですしね、塚口理論のトップハンドトルクも気になるし・・・。

・・という訳で、次回番外編を書こうかなーーと思ってます。

2007年9月4日火曜日

インパクト⇒フォロースルー

エッセンスの動きでインパクトを迎える訳ですが、インパクトは前に載せた図が一番分かりやすいですね。

<原典:筑摩書房刊「科学する野球レッスン」>











そして!インパクトのことを書こうとバイブルのひとつであるMFTをチェックしたところ、なんと!テーマにピッタンコの新しいページがありました。

まず、ボールをチョップするような形を作る。


その際に肘が先行するようにする。

<原典:MFT「ひじと手首」http://www.mft.jp/batting_elbow_wrist1.htm
おっとーーー!これはまさに「科学する野球」の空手打法そのものですねーーー。

なんとさらに!「科学する野球」にも載ってるトンカチインパクトだ!

<原典:MFT「ひじと手首」http://www.mft.jp/batting_elbow_wrist1.htm

これ、やると分かりやすいだろうけど・・・


下半身の強い力を有効にボールに伝えるために、ボールをとらえるとき、腰はボールに正対していなければなりません。写真のように、腰に板をつけることによって、正しく回転できているかを簡単にチェックできます。
正しい形であれば、バットと腰の板が平行になります。


<原典:MFT「打つ瞬間の腰」http://www.mft.jp/batting_impact.htm#2

そして、大きなフォロースルーのためには、この練習をさせたい!
でも、これだけ長い棒はなかなかないのでノックバットを振らせてはどうかと思ってます。

<原典:MFT「大きなフォロースルー1」http://www.mft.jp/batting_followthrough1.htm

インパクトからフォロースルーは自分でどうこうできることではないので、ひたすらこういう練習を繰り返してしっかりスウィングすることですよね。

あっ、ただこの時に重要だと思っているのが、スイングの軌道と体の傾きの関係!!


これは日米を代表するスラッガーがセンター方向へホームランを打ったときのスイングの軌道です。
<原典:MFT「スイングの軌道2」http://www.mft.jp/batting_orbit1.htm

さあ、誰でしょう?
大事なことは、上半身の傾きとスウィング軌道が90度ってことですね。

今回は、ほとんどMFTでした!