2008年10月14日火曜日

野球道?

このブログでは、あたしがお勉強している野球の技術を取り上げ、今後の指導に役立てようと書いているのですが、ここにきてチームスポーツには技術以外の要素がはるかに大きな意味を持っていることに気づかされることばかり。

せっかく守備を始めたところだったのですが、今回はその辺の状況を書いてみようと思います。
どうも、この辺のチームのバックグラウンドを理解しておかないと練習方法なども理解し難いところがあるので・・・

少し書きましたが、うちチームは急激に強くなってきています。
なにしろ、今年3月に公式戦が始まって以来、負けはたったの1試合しかありません。どうやら、最近はうちのチーム打倒を目標にするチームが増えているという話も聞きます。
この夏から秋口にかけて、これまで雲の上の存在と思っていたような地元の強豪チームと当たるオーダーが多かったのですが、結果としてはことごとく撃破してしまいました。

いったいどんな猛練習をしてこんなチームになったと思います?

毎日の強制的な個人練習?
地獄のノック?
ピッチャー陣の徹底的な走りこみ?
徹底したバント戦術?

・・イエイエ、実はこの10ヶ月間、この子達はこと「技術」に関してはまったく進歩していないと言って過言ではない状態です。打撃、走塁、守備、どれを取っても今、彼らがやれていることで去年4部でできていなかったことはほとんどないと言っていいでしょう。
あ、唯一練習したのは2塁牽制のやり方を変えたことだ。

でもそれ以外、去年やれていなかったことで今年になってできるようになった技術もありません。だからいまだにダブルプレーなんてやれた試しがありません。
もちろん、学年が上がり体力がついたおかげで肩が強くなったり、足が速くなったりということは当然あります。でも、これはどこのチームも同じこと。
ということは、去年の段階でそこそこやれるようになっていたということも言えるかもしれません。しかし、去年は市の大会どころか市内を3つに分けた地域ブロックですら優勝することはできませんでした。
でも、彼らは突然、ものすごく強くなりました。
なぜなんでしょう?

それは実に「野球道」ともいうべきものです。

うわー、このブログでこんな言葉を使うとは思いもよらなかったなぁ。
ひらたく言うと「チームプレー」ということになりますが、最近このブログにたびたび登場するベテランコーチ・監督の信念で、

■チーム全員が同じ方向を見て一丸となる
■メンバーの誰かひとりでも欠けたらチームはひとつではなくなる
■父兄・スタッフを含めてチームがひとつになる

これができれば、チームは自然と強くなるというのです。そして、こどもがこの意識を本当に持てれば「技術は自然に向上する」

というのです。 エー?本当か?
もちろん、他のブログや高校野球の監督さんが書かれているものなどを読むと同じようなことを書かれてますよね。でも、今までは本などを読んでもその本当の意味が分かっていなかったですね。
・・で、たしかにチームは激変しました。

こども達への指導としてこの10ヶ月間言っていることは、
①挨拶をキチンとする。
②練習・試合で大きな声を出す。
③道具を大切にする。
④野球をやれることに感謝する。

一言でいうと「気持ちだよ、気持ち!!」ということになっちゃいます。

「こんなことは、べつに去年から言ってることじゃないか。」 と思ったもんですが、監督・ベテランコーチのやりかたを見るにつけ、あたしなんかがこどもに言っていたのとは同じことを言っていても、注意する局面や、なんと言うのか、「深さ」とか「レベル」が違うのがハッキリしてきました。

言い方は難しいですが例えば試合で怠慢プレーがあったり、集合・整列が遅い、ちょっとした移動の合間におしゃべりをして注意が散漫になる、などなど普段のちょっとした場面ごとに、いちいちこども達を集めてはしかり飛ばしながら、この4つが出来ないことを練習を中断してでも、試合中であっても、熱く繰り返し繰り返し語ります。逆にこれらがちゃんとやれたときは結果に関わらず、メチャクチャほめて、この4つの意味をまた熱く語るのです。
こども達も、この繰り返しを毎回毎回やっているうちに少しずつ変わってきています。

一言でいうとほかのことに気を取られずに野球に集中できるようになった・・・ということだと思います。

ベテランコーチが来てからそのやり方を3ヶ月くらいじっと見ていて、テニスという個人スポーツをやってきたあたしとしては、
「ヲイヲイ、こりゃ野球の指導じゃねぇよ。」「しんきクサイわぁー」「いまどき何言ってんのこの人たち?」

・・ってな感じ。もちろん、技術的な指導をしない訳ではないのですが、前にも書いたように「腰落とせ!」式の前時代的な指導。どうなるんだろう・・・と思っているうちに約6ヶ月がたったころ、チームは驚くような変貌を遂げてしまったのです。

しかも、面白いのはちょっと気が緩むと、「このチーム本当に優勝したの?」と言いたくなるようなメロメロのプレーをします。
つまり、しっかり技術が根付いたから勝ってるのではなく、気持ちの持ちようで普段以上のことができるようになるという感じで、「気持ち」を高め、集中できる状態をベテランコーチや監督は「上達した状態」と考えるようです。

もちろん、メンタルのプレーへの影響はテニスでも同じことですが、テニスなら立ち直らなければならないのは自分一人だけなのに比べて、野球の場合はフィールド上だけで9人、ベンチメンバーやスタッフをいれたら20人以上いる訳で、その影響の大きさは個人スポーツの比ではないようだということに薄々気づいてきました。

そう考えると普段から気持ちをまとめられないチームはいくら技術を磨いてもダメだということがこのところおぼろげながら、分かってきてしまいました。
監督などは「子供に技術なんか教えたらダメだ」とハッキリ言います。ヘタに技術を教えると覚えた子がテングになってチームの和が乱れるというのですな。

例えば、今16人いるこども達の中でも1年生のときからずっとやっている子もいれば、野球をやり始めてやっと1年くらいの子もいます。当然、技術の習熟度合いは違うわけですが、監督は習熟度合いでメニューを分けたりすることはしませんね。もし、それをやるとこども達の間にある、上手な子と下手な子というような意識・暗黙の了解的なものを表面化させてチーム内が荒れると言うのです。
そうかそれは、ありそうな気もする・・・

実は、以前おんぶにだっこだったエース君が春の選手権後にまたもやケガに見舞われ、2ヶ月間ほど試合に出られない状態が続いていたのですが、そんな状況でもチームは勝ち続けたのです。つまり、うまい子に依存せずにキッチリ勝ちをもぎ取れるようになってきたんですね。

とはいうものの、あたしとしてはやっぱり気持ちを高め、集中できるようになってきたからこそ、技術を加えるべきではないかと思う気持ちもあり・・・

難しい・・・でも、ゾクゾクするほど面白いもんですねぇ。

守備:キャッチボールのフットワーク

さてさて、いよいよキャッチボールについて書きます。あたしは、守備担当コーチということもありrenくんたちが3年生の4部のころはキャッチボールをかなり丁寧に練習させていました。

なにしろ、あたしがこども達を教える中で一番気をつけようと思うのが、肩や肘を壊すことがないようにさせたいということ。そのためには、無理のないフォームで無駄のない動作を教えたい、そこで4部のときはキャッチボールのフォームもやり方もすべてあたしが指導していて、このブログのピッチングカテゴリのエントリーはその時点の投球フォームに関する指導内容を書いたものです。

しかし、前回の「腰を低くの意味」でも書いたように、renくんたちが今年4年生の3部になってからベテランコーチが教えるようになったのですが、そのコーチや監督が教える方法はあたしが教えていた方法とはだいぶ違っていて、さらに自分がお勉強している中でもいくつかの方法があって・・・

「結局どれがいいのよ!?」

という状態が続いていました。それが、最近あるきっかけで、どうやら「こうなんじゃないか?」という結論めいたものが見えてきたので、やっとエントリーしようという訳です。

特に悩んでいたのは、キャッチボールのフットワークです。もともとあたしは、自分がお勉強する中で「キャッチボールは3歩あるく」を基本に教えてきました(あ、上体の動きがある程度できてからです)。

3歩あるくというのは・・・
①まずグラブ側の足を一歩出しながら捕球する。
②捕球したら、投球側の足を90度捻りながら(土踏まず側を相手に向けて)、グラブ側の足の前をクロスするように一歩踏み出す。
③②の足を軸にグラブ側の足を相手に向かって踏み出して投球する。
④②と③をすばやくサイドステップで行えばクイックスロー。

ということで、右投げなら、「左→右→左」と踏み出しながら捕球&投球する訳です。
これは、バイブルであるMFTや「少年野球ブログ」のmetooさんチームでも採用されていて、さらに元ロッテの水上選手がこども達に教えているビデオを見て採用を決めたのですが、とても動きが自然でしかも守備のフットワークの予備練習にもなるのです。

守備で、ゴロを捕球・送球する流れは・・・
①左足かかとをつき、つま先を上げた形で捕球。
②左つま先を降ろして左足をステップ
③②のステップをきっかけに右足をクロスステップまたは、サイドステップしながら投球。

・・・ですから、3歩あるくことがクセになっているとこの動きが違和感なくできるわけです。
ところが、別なバイブルである「科学する野球」では、「2歩」だと言います。上記3歩の①を省いた形です。当然ですが、このほうが捕球から送球まで時間が短くて済みます。特にキャッチャー牽制などには有効だし、きわどいダブルプレーなどでもぜんぜん違ってきますよね。

そしてそして、わがチームのベテランコーチと監督の指導はまた違っています・・・

■両足を肩幅に開いて膝を曲げ、両手でボールを引き込むようにガッチリ捕球する。
■投球動作は捕球動作とは連動しない。

うーん、これはどうなんだ?まるっきり捕球と投球を分離している。
それでも、キャッチボール練習では必ず最後に「近くで20球」と言って、クイックスローでのキャッチボールをさせます。でも、ふだんこども達はフットワークをまったく習っていないので、どうもぎこちない子がいます。4部の頃に3歩を仕込んだ子達はいいのですが、3部に途中から加わった未経験の子などはいまだにぎこちない動きのままです。

ところがです、ごく最近の練習で塁間のボール回しをしている時に、このベテランコーチが突然「フットワークができていない!」と言い出したのです。
曰く、「ボールを捕ってから足を動かしてたら送球に時間がかかるんだよ」
曰く、「ボールを捕球したら投球側の足を軸足にして動かさないで、グラブ側の足を目標に向かって踏み出して投げろ」
曰く、「そのためにはボールは斜(はす)になって捕るんだよ」

・・というのですが、こんな動作はこれまで教えたこともありません。突然こんなことを言われても、これまで「球は正面でガッチリ捕れ」としか教えられていないこども達はチンプンカンプン。まあ、この辺が伝統的な指導らしいところとも言えますが、こども達がかわいそう。

これまでさんざん「正面ガッチリ」ができたらフットワークを教えようと言ってきたのに、ガンとして受け入れなかったのだから困ったもんです。

じゃあなぜ、突然こんなことになったのかと言えば、前回のエントリーでこの子達が市内の市民大会で地元の超強豪チームを破ったことを書きましたが、その後ドンドン勝ち進み、なな・なんと
「優勝」 してしまったのです!!
そのご褒美として東京23区プラスアルファが参加する大会に参加できることになりました。
さらには、先月秋の市民大会が始まったのですが、これまたドンドン勝ち進んでまたまた決勝進出という状況。

とまあ、伝統的指導のスゴさを肌身で感じている今日このごろなのですが、・・で、最近強いチームとばかり当たることが増えてきて、これまでのプレーのレベルではいかんゾと、そういうことになってきた訳ですね。急に違うことを言われるこども達はかわいそうなんですが、ま、力が認められた結果と考えればうれしい悲鳴です。

ただ、このチーム状況を考えていたら、自分が悩んでいた「結局どれがいいのよ!?」・・は段階的にマスターすればいいということに気づいたのです。
どういうことかと言うと・・・

①初心者の子供は「正面ガッチリ」で正確に捕ることを覚える。
②①ができた子は、「3歩あるく」フットワークで自然な動きと守備動作の流れを覚える。
③②ができていて、「より早い送球」が必要になったら、②の応用として「2歩」を教える。

ということです。さらにプロのボール回しなどを見ているとさらにノーステップまで進化できるということが分かりますね。もちろん、これは2歩の極小ステップということですが、「正面ガッチリ」の形で捕球する瞬間に膝と足首を緩めて一瞬足が浮き上がるような感じで捕球し、着地と同時に股関節をキュッと捻るだけで投げてます。この辺の動きは最近はやりの「古武道」にも通じるようで興味深いです。

まあ、きっかけはなんであれ、やっとキャッチボールのフットワークを教えることができそうなのですが、ここでまたぶつかるのが伝統指導の壁ですな。
・・・と言っても実は、その伝統指導の考え方はなかなか深遠なものでもあり、チームスポーツを指導・運営するに当たって非常に重要なことがらを含んでいるようで考えさせられます。

2008年6月18日水曜日

守備 : 腰を低くの意味

えー、前回・・・といってももう半年以上も前なのですが、ピッチングについて引き続き書くようなことで終わりましたが、突然ですが、守備に変更です。
ここからピッチングを始めるととてつもなく長くなりそうだし、一旦守備にしようと。 またこの守備でいろいろありまして・・・

バッティング、ピッチングときてやっと守備を考えます。
さあ、守備編のはじまりはじまり。

守備のときに「腰が高い!」きっと誰しも言われたことがあるし、コーチになったら一度はいう言葉じゃないでしょうか?


前にも書いたとおり、あたしは守備担当です。
それなりにお勉強してきて、自分なりの指導方法もいろいろ工夫してきました。
その中であたしがとても重要だと思っているのは、

「ボールは動きの中で捕る」
「捕球は送球のための動き」

ということです。
でも、ここ半年くらいの間にいろいろと考えさせられることがあったのです・・・

エントリーを長期間サボっているうちにRENくんたち4部の子供たちは1月から3部になり、それと同時に昨年まで1部で教えていたコーチが2名ほど新3部の面倒を見てくれることになりました。

この方たちはもうコーチ暦10年という大ベテラン。もちろんご自身の息子たちはとっくに小学校を卒業してそれぞれ上の学校で野球に勤しんでいるわけです。
この2名のうち、主にバッテリーそしてときどき守備の面倒を見てくれるのがKコーチ。
なかなかのコワモテで子供たちもビビッているのですが、その指導内容がスゴイ・・・

という訳で、今回このKコーチが教える守備について考えるところから守備編をスタートしようと思います。

Kコーチいわく、

 ・足は肩幅より少し広く、やや内股。
 ・グラブが地面に付くまで腰を下げて拇指丘体重でかかとを上げる。


ちょうどこんな感じで、かかとを上げます。

MFTでは、この写真について
「必要以上に腰を下げている」悪い例とされています。



<原典:MFT「ゴロ捕球の基本形1」>


この体勢って・・・キツイッす。脚がプルプルしちゃう。こんなに腰下げたら動けないだろう・・・
と、思うのですがしかしそこはそれ、長年の指導のポイントがあるわけで・・・

 ・しかし、この姿勢は苦しくて2・3秒しか保てないからピッチャーが足を上げる
  頃この構えに入って、投げるときにはガマンできずに足が一歩前に出てしま
  うくらいでちょうどいい。
  そうすれば、最初の一歩が早く出る。  

 ・そして、この姿勢だと体は地面と平行くらいに倒さないと苦しいはずで上体が
  起きるのは腰が高い証拠。

という次第。イヤハヤ、いまどきこんな指導はなかなかないぞー。

ただ、捕球時に体が地面と平行ってのは、あたしも前々から子供たちに言っていることで、「この姿勢だと上体が起こせない・・・」なんて部分は、自己チェック機能もあってなかなかだと思います。


ただこの腰の低さはやっぱすごいです。
うーん、なんか昔ながらって感じですよねー。

最近は本やサイトを見ても「腰は低く」とはいうものの、どっちかといえば動きをスムーズにする目的で、テニスのレシーブのような構えを薦めるものが多く、膝は軽く曲げるものの、腰を下げること自体はそれほど強調されていませんよね。あたし自身としてもテニスの経験から腰を下げすぎては動けないことを体験しています。

だいたいこんな感じでしょう・・・









<原典:MFT「ゴロ捕球の基本形1」>

特に膝と太ももの角度は最大でも90度であるべきと思っています。
それ以上曲げたら膝に負担がかかって膝を痛める原因にもなりかねない。

ここまで腰を下げる必要があるのか?と疑問を感じるのと同時に、これまでの指導と全然違ってしまうので、「ちょっと困ったなぁ~」などと思っていました。

ところが!ところがですよ、なぜか子供たちは、あきらかにこの構えのほうがボールを捕れるんです。
エラーがはっきり減ります。

なぜ?構えを変えただけなのに?
不思議に思って飲みながら聞いてみると、このほうが目線がボールの高さに近くなってよく見えることと、そのほうが強い打球が来ても怖くないのだとか。
なるほど、でもどうやらこれは野球では当たり前の理屈のようですね。

ただ、あたしが衝撃を受けたのはそのことよりも、これだけ低くなってると普通なら難しい「跳ね上がってくるハーフバウンド」のゴロを顔の前で、グラブ上向きで捕れると言ってたこと。

つまり、膝より低いボールはグラブ下向きで捕るけど、膝より上なら全部キャッチボールのように顔の前で捕れるということなんです。
そう、上体を深く折っているから必然的にそうなるんですね。

なるほど、ショートバウンドに間に合わない一番やっかいなハーフバウンドをキャッチボールのように捕れる。こりゃ、エラーが減る訳だ。
それにグラブ下向きで捕るときも目とグラブの距離が近くなってグラブに入るボールをキチンと見届けることができる。

うーん、経験の強さってのはこういうところに出るなぁ。

ただ、この方法だとやはり動きが鈍くなります。打球を捕る瞬間両足が地面をしっかり捕まえた形になるからです。
サードに強いゴロが飛んだ時などは低くかまえてガッチリ捕るのは良いとして、ショートがこれをやると深い打球のとき送球が遅くなると感じます。
ましてや、これからダブルプレーなどをやれるようになって来たときに動きが遅れる気がしてしょうがない。

「その前にまずしっかり捕ることだよ」

まあ、そう言ってしまえばそれまでなんだけど。あたし的には、どうせなら最初から動きの中で捕る練習をさせて精度を上げるほうがいいのではないかと思うんですが・・・

だって、その程度の動きができなかったら、テニスなんかぜったいできません。
実際に同年齢の子供たちで平気で動きながらの守備をこなす子もいますよね。

子供たちって、やらせてみると大人が考えている以上にいろんな動作をこなせます。変に制約を加えないほうが伸びるのではと思うのですね。
もちろん、中には運動能力がまだ未開発の子もいて、その子にとっては動きを限定したほうが良いということはあると思います。

でも、その子もいろんな動きをさせないとなかなか運動することが身に付かなくて、結局伸びるのが遅れてしまう可能性が高いと思うのですよね。

そういう意味でも、あたしは捕球の瞬間は左足(右利きの場合)はかかとをつけてつま先が上がった形で、その流れで左足を踏み次いで右・左とステップをしながら送球をさせたいです。
で、さらに言えば打球へは正面から入らずに右側からボールを斜めに横切るように入って捕らせたいのです。

・・・などと言いつつ、実はつい先日この子らがとんでもないことをやってくれました。

私たちの地区では、先週から夏場の市民大会が始まったばかりなのですが、なんと、2回戦で「春の選手権」と呼んでいる市内の小学校のトーナメントで優勝したばかりのチームにぶち当たり圧勝したのです!!



「やったあああああああああーーーーー!!!」

     「よっしゃああああああああああーーーーーー!!!!」

「すげええええええええーーーーー!!!」



ぐらい大騒ぎでした。


その相手は、市内を3つのブロックに分けたブロック大会でも市全体の大会でも常に優勝に絡んでくる超強豪チームで、昨年4部のときに練習試合に行ってケチョンケチョンにやられたとこです。

この試合でのRENくんたち3部の勝利を見ていたチーム代表の印象は、

「守備がしっかりしてるネー」

でした。
そうかぁー、うーむ・・・この子らには、今の指導が合っているのかもしれないなぁ。

うれしいうれしい勝利の陰で、あたしの悩みはつきません。

2007年11月20日火曜日

コントロール

ピッチングを一通り書いたのだけれども何かしっくりこなくて書きあぐねていました。

前回のエントリーからおよそ1ヶ月もかかって・・・やっと分かったんです。

ピッチングに関しては、チョット前に現在の指導内容をまとめて書きました(ピッチングエッセンス稼動システム)が、でもその内容がいまいちな感じがしていたんです。
どこがいまいちなんだろう???

それが・・・コントロールでした!!

実は、今わがチームの悩みの種でもあります。
わがチームは、「4部」と呼ばれる3年生以下で構成されるチームなのですが、めずらしいことに3年生が17人、1年生が1人というメンバー構成。

こちらの地域では、6年以下の1部・5年以下の2部・4年以下の3部・3年以下の4部という区分けになっていますが、ここ数年はひとつの学年の人数が4・5人しかいないことが多く、2つか3つの学年を合わせてやっとひとつのチームを作ってきた状況だったようなのですが、なぜかrenくんが入った去年の2年生(いまの3年生)は野球が人気のようで、1年生を入れれば2チーム分の人数が揃ってます。

その中のわがチームの3年生エース君、3年生の中ではひときわ背が高くて、今は中学生になっているおにいちゃんたちも同じチームでピッチャーをやってたこともあり、なかなかな速球を投げるもんで、同じ3年生以下の4部相手だとちょっとやそっとでは打たれません。

・・・ただ、ストライクが入るときはいいんですが、ムラがあるんですね。
さらに、わがチームにはそのエース君以外のピッチャー君が2人いるんですが、やっぱり負けるときはフォアボールなんです。

そんなこともあって、ここのところどうやったらコントロールが良くなるだろうということを考えていたので、前にエントリーした内容だけではどうもしっくりこなかったんですね。

そのときに前回書いた工藤選手のバイブルに出会い、さらにその後メジャーリーグのピッチャーばかりを集めたムックを読んだり、そして渡辺俊介選手の「アンダースロー論」を読んだんですね。

アンダースロー論!!

これも、さらなる新たなバイブルです。プロ野球選手としては特筆すべきフィジカルの強さがないと自ら書いている渡辺選手がWBCなどをはじめ、あれほどのピッチングができる理由がとても丁寧に書かれていますが、その秘訣はコントロールとバッターとの駆け引きにあるようです。

特に、渡辺投手はプロ入りした頃コントロールが悪かったらしいのですが、コントロールを良くしてさらにプロ野球で生き残っていくために参考にしたのが(もちろんアンダースローですから)過去のアンダースロー投手のビデオとそして、工藤選手(やっぱり!)と同じロッテの黒木選手のピッチングだそうです。

特にある会合で工藤選手、黒木選手と同じテーブルに座ったときに両選手がピッチングについて話している内容に衝撃を受けたそうです。その内容は、前回紹介した工藤選手のバイブルに書かれていたことそのものです。

「・・上体を真っ直ぐ立てたまま横に移動して、足を踏み出して投げる瞬間に、パッと九〇度回転して投げる。足を上げてから下ろすまで、打者に対する上体の角度は変えずにスーッと真っ直ぐいって、投げるとき、タンと上体を返す。ふたりとも、そうやって投げているというのです。」
【原典:光文社新書刊「アンダースロー論」】

そこで、これらバイブルで学んだことをちょっとずつ試しながらやっとまとめて書けそうな感じになってきたのですね。

さーーて、その中身は・・・また次回でーす(ヲイヲイ・・)
 

2007年10月24日水曜日

理論と実践 -あらたなバイブルの登場!-

 
ピッチングに関しては、バッティング以上に理論の部分で悩んでしまいました。

日本人投手の投法と大リーガーの投法はどのように違うんだろうか?本当に「科学する野球」が指摘することが問題なのだろうか?などなど考えているうちにバッティングの時に参考にしていた「メジャーの打法」(http://www.geocities.jp/tokyomarlin/part1.html)の中に投球の分析もあったことを思い出し、改めて見てみたところ、あるわあるわ・・・

この中では、Feltner氏、Jobe氏、風井氏他の論文を元に筋電図データから主にピッチング時の腕の振りに関わる筋肉の使われ方について日本人投手と大リーガー投手の違いを論じています。

・・・で、読んではみたのですが・・・さっぱりわかりませーーーーん。
ただ結論的に、上記3氏の研究から現在日本で主流となっている投法は2つあるようでそのうちのひとつがアメリカの投法に類似しているということのようです。
また、このサイトの主催者はこういった研究を踏まえ、これまでよくないとされてきた「アーム式投法」を分析し、改めて積極的な意味のある「別な投法として」再定義するべきであるという考えをもっており、その定義からすると松坂大輔投手やあのペドロ・マルチネスもアーム式に分類されるとしています。

「えーーー?松坂がアーム投げ??」

なんて思いがちですが、間違ってはいけないのはこの主催者は「アーム式投法」を「再定義」しているということですね。
詳細を知りたい方は、ここを見てみてくださいね。


ところで、今回のタイトルは「理論と実践」ですな。
そう、ピッチングに関して上のような理論を追いかけていてなんか頭がウニになってしまっている状態を知っていただこうと上記のサイトの概要をあえて書いてみました。

でも、以前に書いたように自分自身はややこしい理論は好きですが、実践指導はできる限りシンプルにしたいと考えています。
・・そんなことからして、

「おいおい、こんな難しい研究を追っかけてどう指導するつもりなの?」

と、自分自身にツッコミをいれていました。

ところが!そんなウニに忽然と新たなバイブルが登場したのです!!

「僕の野球塾」(講談社刊 工藤公康著)

今までなんとなく見逃してしまっていたのですが、ある日本屋でなんやかんやと立ち読み(やっぱり・・)してたらフと目についてなにげなく読んでみたのです。
その瞬間!!

「買わねば!!!!」

とビックリマークが4つも並んでしまい、同時にあたしのバイブルに自動登録されたのでした。

なにしろこの本、あの工藤投手自身が定例で開催するジュニア向けの野球教室で指導していることをまとめているのですが、とにかく理屈がシンプル!そしてその理屈を理論として展開するのではなく、実際の動作に落とし込んでいて、要はその動作(工藤投手自身がモデルになっている連続写真)をマネること、繰り返しその動作・ドリルを練習することで体で習得できるようになっているのです!

すばらしいーーーー!!!

そう!自分自身が理論に振り回されていることがよーーーく分かりました。
一貫した指導のために理論は重要ですが、あたしはバッティングと違って重要なポイントを動作に落とし込めていなかったのです。

特にウロコが落ちたのは、足上げからトップの形までの動きを、

「足を上げ、足を下げたら手が上がる」

と説明していたことです。

ピッチングを十分に理解できていないあたしにとって、この動作そのものが普通に目にする動きでありながらトップを形成する際のタイミングや、間の取り方や、手足の連携にとって重要な動作であることを初めて知り、さらにそのことを端的にたった一言で見事に言いあらわしていることに驚愕したのです。

「やっぱ指導者はこうじゃなくちゃネーーーー。」

テニスの頃を思い出しながら一気に読みきってしまいました。
なにしろ、技術論の部分がとてもコンパクトなのもこの本の特徴でしょうね。
技術論以外は、野球をやることに対する考え方や姿勢といったことが主なテーマになっていて、まさにこの部分が指導の上で必須であり、逆にここが分かっていないといくら技術をコーチが教えてもダメだということを端的に示す稀有な指導書ですよね。

誰もが重要であると考えながら、技術書に添え物のように書くことが多かったテーマだと思いますが、この部分を大々的に書き、その中に技術論を交えているところに自らが技術を極限まで追求している現役投手である工藤投手の真骨頂が現れていると感じました。

この本を読んで今まで以上に工藤投手を応援したくなりました。
このブログを書いているほんの2日前に工藤投手は手術をした肘のリハビリのためアメリカに渡りました。

ばっちりリハビリして、来年も今年以上に大活躍して下さいネ!!!

 

2007年10月11日木曜日

後ろ足の使い方

今回は、自分でその理論を取り入れるわけではないのだけれども気になっていることを取り上げます。

このブログでも何度も取り上げている手塚さんのダブルスピン理論の「エッジング」についてです。
まず、あたしがダブルスピン理論に出会ったのは、2006年の12月ごろ。
6月からチームにコーチとして参加して、少しづつお勉強しながら自分なりの考え方を模索している最中でした。
きっかけはバッティングのお勉強にいろいろな本を探していたときに「うねり打法」や「シンクロ打法」などの書籍を立ち読みしては(やっぱ立ち読みかよ!)個性的な理論を展開しているなぁ・・と思っていたところ、文庫版の「プロ野球 バッティング&ピッチング解体振書」(PHP文庫)を見つけて買ったのです。

野球の技術に関して、体の構造や筋肉の働きを踏まえて体系的にまとめられたものは手塚さんの本が初めてだったので、読んでたらなんかワクワクしてきましたね。自分も魔球が投げられるようになりそうな気がしてね・・・

・・で、早速ためしてみました。
自分的にはピッチングについて目からウロコが何枚も落ちちゃいました。もちろん、ダブルスピン投法をマスターできた訳でも「ジャイロボール」を投げられるようになったわけでもありませんが、この理論をマネて投げてみると、それまでわけも分からずテキトーなフォームで投げていたのが

「そうそう、テレビのピッチャーってこんな感じジャン!」

なんて思える程変わってきて、腕の振りが一定の軌道になってきたのが分かりました。おかげでコントロールが抜群に良くなったし、その昔テニスエルボーで傷めた肘が痛くならずに投げられるようになったのです。(それまではチョット投げただけでも痛かったんです)
そして、ピッチングのエッセンスの回で書いたゼロスローを体験できたのもこの本のおかげです。

腕の振り以外にも、足上げで「Yの字バランス」にすること、併進運動の際にバッテリーラインからわずかに1塁側にある椅子に腰掛けるように腰を落とすこと、テイクバックを肘から上げること、そしてなにより右腕の内旋によるスローイングの方法が明確に分かったことが大きな収穫でしたね。

そんな体験からほんの3ヶ月前までは、投球はダブルスピンを元に教えようと考えていました(「科学する野球」を読む前までってことですね)。

ただ!!どうしても気になる動作があったのです。それは・・

『エッジング』です。

エッジングは、バッティングでもピッチングでも軸足を通して地面からのパワーをうねり上げるときに重要な役割を果たすらしいってのは分かる感じがするんだけれども、いまいちピンとこない・・・どうやら、後ろ足の内側くるぶしが地面につくぐらい粘ってから投げたほうがいいらしい。でも大リーガーは狭めのステップで突っ立ったまんま投げる感じですよね。

前回の「フィニッシュ」でも取り上げましたが、ピッチャーのフォームに関して日本人と大リーガーの違いのとても大きな部分がこの足の使い方だと思うんですね。
手塚さん自身もこの体を低く使う動きとそれにともなう「くるぶしが地面につかんばかり」の粘るエッジングは、相撲に端を発する日本人の下半身の使い方が受け継がれた「伝統工芸的」な独特の動作であるといっています。

一方「科学する野球」では、後ろ足の内側がいつまでも地面を押さえているのは軸足の内部応力から発生するべき「捻り」が使えないとしてNGなんですなぁ。
手塚さんの理論は、細かいところまで考えられていると思うのですが、このエッジングについては若干不明なところがあると思ってます。それは、ドミニカの投手の多くもこのエッジングを使っているとのことなのですが、日本人の使い方とは違うらしいのですね。

「ペドロ・マルチネスのように高い重心で「エッジ」を効かせれば、回転には有利でも下半身はネバリづらくなるだろう。
同じ「エッジングの効かせ」方でも、お国柄が出ていてなかなかおもしろい。」
<原典:PHP文庫刊「プロ野球 バッティング&ピッチング解体振書」>

もっと詳しく比較論が知りたいところですが「おもしろい」で流されてしまいました。
高い重心でのエッジングは本当に回転に有利なの?回転を効かせた投げ方とダブルスピン投法はどう違うの?ドミニカのエッジングってどういう動作なの?いろいろ疑問が湧きます。

この違いが分かれば「科学する野球」でいう大リーガーの投法との違いを理解するヒントになるのではと思ったのに。

・・・・と、ここまで書いてきたときになんと あの! あたしの最近のバイブルサイト「野球サイトPA」主催者10さんからコメントを頂きました。

「えっ!? あのサイトの主催者から?」

とビックリしつつ、コメントをやり取りしています。その中で10さんは日本の投法が金田・権藤・稲尾時代にはステップはそれほど広くなかったのに、昭和中盤~後期に「ステップはとにかく広く」というのが常識になってしまい、そして最近は徐々にまたステップ幅が狭い選手が増えつつあるという流れと、最近大リーガー投手の中に日本っぽい足の引きずりをする選手が見られることを挙げて、

「両方のいいところが合わさっていきそうだ、と期待しています。」

という意見を頂きました。

なるほど、そういうこともあるのかもしれませんね。
あたしもコメントに書いたのですが、ヤンキースのリベラ投手のフォームなどは、結構日本人っぽい感じしますよね。


・・・と、いいつつもやっぱりドミニカエッジングというものがあるなら、どんなメカニズムなのか知りたいなぁ~。
 

2007年10月10日水曜日

フィニッシュ

だいぶ、エントリーに間があいてしまいました・・

前回、ピッチングの流れを一通り書いたところで、次に何を書くかまたまた悩んでしまいました。
但し、やっぱり前回の最後でシリング投手の写真で悩んでいると書いているので、とっかかりはここからにしよう!

さて、どうしてこの写真で悩んでいるのか分かりますか?
そう! 右足が地面から離れていることなんですよ。






あたしのバイブルのひとつ「科学する野球」では、日本人プレイヤーと大リーガーの動作を分析し、より理に叶っているのはどういう動作かということを解説しています。
この中で、ピッチャーのフィニッシュは・・・
大きい方が大リーガーに多いフィニッシュ、小さい方が日本人に多いフィニッシュですね。









<原典:筑摩書房刊「科学する野球レッスン」>
大リーガーは始め後足を軸足として体重を預けさらに、立ち気味の狭いステップで前足に体重を乗り移しながら今度は前足を「回転軸」として固定させて使うことで体の中で最も重い大臀筋を含めた体重を全て前足に移せる・・としています。

一方日本人プレイヤーは、足上げのあとに唯一の軸足と呼ぶ後足を折り曲げ、低い姿勢でヒップファーストの長く低い併進運動でこれまた低くて広いステップを行いますが、この広いステップにより大臀筋が両足の真ん中に落ちてしまって、その重さがリリース時に前足に乗り切らないため、体重移動が不十分であると指摘しています。

同一物体において体重を移動するときに、重心が低い場合と高い場合を比較すると高い方が体重移動しやすいのは物理的に明らかですよね。
「ピッチングのエッセンス」でも紹介した最近のバイブルサイト「野球サイトPA」でも、体重移動の動作(併進運動)と上体の動きを支えるには日本人の細い足・弱い上半身では、メジャーリーガのような重心の高いフォームから前足を突き刺すように踏み出す際の衝撃に耐え続けることができないとした上で・・

『「ただ、メジャーリーガーであっても日本人であっても、「前足を固定し、股関節を軸にして体を回す」という「理想的な原理」は変わらないはずです。」』
<参考:「野球サイトPA」(1)前足ステップのやり方 4:ステップ幅「7歩が理想なのか?」
http://pitchinganalyzer.web.fc2.com/3-1.html

・・・と言ってます。
つまり、「科学する野球」でいう大リーガーの動作はやはり「理想的な原理」に基づいているということですね。

これらの理論を受けてあたしは、一応ヒップファースト併進運動+前膝角度100度 を現在の指導方法としたと書きました。
なぜなら、問題は日本人の肉体的な弱さにあるという指摘があるので、これは一朝一夕に解決できない問題だし、こども達にとって危険な動作はさせたくないという理由からです。

でも、気になるのは、日本人の投球方法では体で最も重い「大臀筋」の重さが乗らないという指摘です。
これが本当なら、かなりもったいないという気がしますよね。
ただでも体重が軽い日本人が、最も重い筋肉の重さを使えないということですもんね。
これが本当なのかどうか検証したデータはないのかなぁ・・・

・・で、冒頭のシリング投手のフォームを見るとリリース直後に右足が完全に浮いていて、つまりこれは体重が完全に左足に移っていると見えるのがとっても気になる訳です。

・・という訳で今回は何を悩んでいるのか?を明らかにして終わりです。