2008年10月14日火曜日

守備:キャッチボールのフットワーク

さてさて、いよいよキャッチボールについて書きます。あたしは、守備担当コーチということもありrenくんたちが3年生の4部のころはキャッチボールをかなり丁寧に練習させていました。

なにしろ、あたしがこども達を教える中で一番気をつけようと思うのが、肩や肘を壊すことがないようにさせたいということ。そのためには、無理のないフォームで無駄のない動作を教えたい、そこで4部のときはキャッチボールのフォームもやり方もすべてあたしが指導していて、このブログのピッチングカテゴリのエントリーはその時点の投球フォームに関する指導内容を書いたものです。

しかし、前回の「腰を低くの意味」でも書いたように、renくんたちが今年4年生の3部になってからベテランコーチが教えるようになったのですが、そのコーチや監督が教える方法はあたしが教えていた方法とはだいぶ違っていて、さらに自分がお勉強している中でもいくつかの方法があって・・・

「結局どれがいいのよ!?」

という状態が続いていました。それが、最近あるきっかけで、どうやら「こうなんじゃないか?」という結論めいたものが見えてきたので、やっとエントリーしようという訳です。

特に悩んでいたのは、キャッチボールのフットワークです。もともとあたしは、自分がお勉強する中で「キャッチボールは3歩あるく」を基本に教えてきました(あ、上体の動きがある程度できてからです)。

3歩あるくというのは・・・
①まずグラブ側の足を一歩出しながら捕球する。
②捕球したら、投球側の足を90度捻りながら(土踏まず側を相手に向けて)、グラブ側の足の前をクロスするように一歩踏み出す。
③②の足を軸にグラブ側の足を相手に向かって踏み出して投球する。
④②と③をすばやくサイドステップで行えばクイックスロー。

ということで、右投げなら、「左→右→左」と踏み出しながら捕球&投球する訳です。
これは、バイブルであるMFTや「少年野球ブログ」のmetooさんチームでも採用されていて、さらに元ロッテの水上選手がこども達に教えているビデオを見て採用を決めたのですが、とても動きが自然でしかも守備のフットワークの予備練習にもなるのです。

守備で、ゴロを捕球・送球する流れは・・・
①左足かかとをつき、つま先を上げた形で捕球。
②左つま先を降ろして左足をステップ
③②のステップをきっかけに右足をクロスステップまたは、サイドステップしながら投球。

・・・ですから、3歩あるくことがクセになっているとこの動きが違和感なくできるわけです。
ところが、別なバイブルである「科学する野球」では、「2歩」だと言います。上記3歩の①を省いた形です。当然ですが、このほうが捕球から送球まで時間が短くて済みます。特にキャッチャー牽制などには有効だし、きわどいダブルプレーなどでもぜんぜん違ってきますよね。

そしてそして、わがチームのベテランコーチと監督の指導はまた違っています・・・

■両足を肩幅に開いて膝を曲げ、両手でボールを引き込むようにガッチリ捕球する。
■投球動作は捕球動作とは連動しない。

うーん、これはどうなんだ?まるっきり捕球と投球を分離している。
それでも、キャッチボール練習では必ず最後に「近くで20球」と言って、クイックスローでのキャッチボールをさせます。でも、ふだんこども達はフットワークをまったく習っていないので、どうもぎこちない子がいます。4部の頃に3歩を仕込んだ子達はいいのですが、3部に途中から加わった未経験の子などはいまだにぎこちない動きのままです。

ところがです、ごく最近の練習で塁間のボール回しをしている時に、このベテランコーチが突然「フットワークができていない!」と言い出したのです。
曰く、「ボールを捕ってから足を動かしてたら送球に時間がかかるんだよ」
曰く、「ボールを捕球したら投球側の足を軸足にして動かさないで、グラブ側の足を目標に向かって踏み出して投げろ」
曰く、「そのためにはボールは斜(はす)になって捕るんだよ」

・・というのですが、こんな動作はこれまで教えたこともありません。突然こんなことを言われても、これまで「球は正面でガッチリ捕れ」としか教えられていないこども達はチンプンカンプン。まあ、この辺が伝統的な指導らしいところとも言えますが、こども達がかわいそう。

これまでさんざん「正面ガッチリ」ができたらフットワークを教えようと言ってきたのに、ガンとして受け入れなかったのだから困ったもんです。

じゃあなぜ、突然こんなことになったのかと言えば、前回のエントリーでこの子達が市内の市民大会で地元の超強豪チームを破ったことを書きましたが、その後ドンドン勝ち進み、なな・なんと
「優勝」 してしまったのです!!
そのご褒美として東京23区プラスアルファが参加する大会に参加できることになりました。
さらには、先月秋の市民大会が始まったのですが、これまたドンドン勝ち進んでまたまた決勝進出という状況。

とまあ、伝統的指導のスゴさを肌身で感じている今日このごろなのですが、・・で、最近強いチームとばかり当たることが増えてきて、これまでのプレーのレベルではいかんゾと、そういうことになってきた訳ですね。急に違うことを言われるこども達はかわいそうなんですが、ま、力が認められた結果と考えればうれしい悲鳴です。

ただ、このチーム状況を考えていたら、自分が悩んでいた「結局どれがいいのよ!?」・・は段階的にマスターすればいいということに気づいたのです。
どういうことかと言うと・・・

①初心者の子供は「正面ガッチリ」で正確に捕ることを覚える。
②①ができた子は、「3歩あるく」フットワークで自然な動きと守備動作の流れを覚える。
③②ができていて、「より早い送球」が必要になったら、②の応用として「2歩」を教える。

ということです。さらにプロのボール回しなどを見ているとさらにノーステップまで進化できるということが分かりますね。もちろん、これは2歩の極小ステップということですが、「正面ガッチリ」の形で捕球する瞬間に膝と足首を緩めて一瞬足が浮き上がるような感じで捕球し、着地と同時に股関節をキュッと捻るだけで投げてます。この辺の動きは最近はやりの「古武道」にも通じるようで興味深いです。

まあ、きっかけはなんであれ、やっとキャッチボールのフットワークを教えることができそうなのですが、ここでまたぶつかるのが伝統指導の壁ですな。
・・・と言っても実は、その伝統指導の考え方はなかなか深遠なものでもあり、チームスポーツを指導・運営するに当たって非常に重要なことがらを含んでいるようで考えさせられます。

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