2007年10月11日木曜日

後ろ足の使い方

今回は、自分でその理論を取り入れるわけではないのだけれども気になっていることを取り上げます。

このブログでも何度も取り上げている手塚さんのダブルスピン理論の「エッジング」についてです。
まず、あたしがダブルスピン理論に出会ったのは、2006年の12月ごろ。
6月からチームにコーチとして参加して、少しづつお勉強しながら自分なりの考え方を模索している最中でした。
きっかけはバッティングのお勉強にいろいろな本を探していたときに「うねり打法」や「シンクロ打法」などの書籍を立ち読みしては(やっぱ立ち読みかよ!)個性的な理論を展開しているなぁ・・と思っていたところ、文庫版の「プロ野球 バッティング&ピッチング解体振書」(PHP文庫)を見つけて買ったのです。

野球の技術に関して、体の構造や筋肉の働きを踏まえて体系的にまとめられたものは手塚さんの本が初めてだったので、読んでたらなんかワクワクしてきましたね。自分も魔球が投げられるようになりそうな気がしてね・・・

・・で、早速ためしてみました。
自分的にはピッチングについて目からウロコが何枚も落ちちゃいました。もちろん、ダブルスピン投法をマスターできた訳でも「ジャイロボール」を投げられるようになったわけでもありませんが、この理論をマネて投げてみると、それまでわけも分からずテキトーなフォームで投げていたのが

「そうそう、テレビのピッチャーってこんな感じジャン!」

なんて思える程変わってきて、腕の振りが一定の軌道になってきたのが分かりました。おかげでコントロールが抜群に良くなったし、その昔テニスエルボーで傷めた肘が痛くならずに投げられるようになったのです。(それまではチョット投げただけでも痛かったんです)
そして、ピッチングのエッセンスの回で書いたゼロスローを体験できたのもこの本のおかげです。

腕の振り以外にも、足上げで「Yの字バランス」にすること、併進運動の際にバッテリーラインからわずかに1塁側にある椅子に腰掛けるように腰を落とすこと、テイクバックを肘から上げること、そしてなにより右腕の内旋によるスローイングの方法が明確に分かったことが大きな収穫でしたね。

そんな体験からほんの3ヶ月前までは、投球はダブルスピンを元に教えようと考えていました(「科学する野球」を読む前までってことですね)。

ただ!!どうしても気になる動作があったのです。それは・・

『エッジング』です。

エッジングは、バッティングでもピッチングでも軸足を通して地面からのパワーをうねり上げるときに重要な役割を果たすらしいってのは分かる感じがするんだけれども、いまいちピンとこない・・・どうやら、後ろ足の内側くるぶしが地面につくぐらい粘ってから投げたほうがいいらしい。でも大リーガーは狭めのステップで突っ立ったまんま投げる感じですよね。

前回の「フィニッシュ」でも取り上げましたが、ピッチャーのフォームに関して日本人と大リーガーの違いのとても大きな部分がこの足の使い方だと思うんですね。
手塚さん自身もこの体を低く使う動きとそれにともなう「くるぶしが地面につかんばかり」の粘るエッジングは、相撲に端を発する日本人の下半身の使い方が受け継がれた「伝統工芸的」な独特の動作であるといっています。

一方「科学する野球」では、後ろ足の内側がいつまでも地面を押さえているのは軸足の内部応力から発生するべき「捻り」が使えないとしてNGなんですなぁ。
手塚さんの理論は、細かいところまで考えられていると思うのですが、このエッジングについては若干不明なところがあると思ってます。それは、ドミニカの投手の多くもこのエッジングを使っているとのことなのですが、日本人の使い方とは違うらしいのですね。

「ペドロ・マルチネスのように高い重心で「エッジ」を効かせれば、回転には有利でも下半身はネバリづらくなるだろう。
同じ「エッジングの効かせ」方でも、お国柄が出ていてなかなかおもしろい。」
<原典:PHP文庫刊「プロ野球 バッティング&ピッチング解体振書」>

もっと詳しく比較論が知りたいところですが「おもしろい」で流されてしまいました。
高い重心でのエッジングは本当に回転に有利なの?回転を効かせた投げ方とダブルスピン投法はどう違うの?ドミニカのエッジングってどういう動作なの?いろいろ疑問が湧きます。

この違いが分かれば「科学する野球」でいう大リーガーの投法との違いを理解するヒントになるのではと思ったのに。

・・・・と、ここまで書いてきたときになんと あの! あたしの最近のバイブルサイト「野球サイトPA」主催者10さんからコメントを頂きました。

「えっ!? あのサイトの主催者から?」

とビックリしつつ、コメントをやり取りしています。その中で10さんは日本の投法が金田・権藤・稲尾時代にはステップはそれほど広くなかったのに、昭和中盤~後期に「ステップはとにかく広く」というのが常識になってしまい、そして最近は徐々にまたステップ幅が狭い選手が増えつつあるという流れと、最近大リーガー投手の中に日本っぽい足の引きずりをする選手が見られることを挙げて、

「両方のいいところが合わさっていきそうだ、と期待しています。」

という意見を頂きました。

なるほど、そういうこともあるのかもしれませんね。
あたしもコメントに書いたのですが、ヤンキースのリベラ投手のフォームなどは、結構日本人っぽい感じしますよね。


・・・と、いいつつもやっぱりドミニカエッジングというものがあるなら、どんなメカニズムなのか知りたいなぁ~。
 

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